歴史的には戦略用語であり、「経画」と表された。つまり、経線を引くという行為である。この行為は、軍事的に領土の拡大を図り、ここまでが占領した領土であるということを地図上に経線を引き、描き込むことであった。経画のなかの、見積もりを測るという意味は今もこの文字表記には依存している。軍事的に、領土拡大を図り、占拠していくためには、兵隊の配置や、攻め方、兵站などを、どのようにしてその戦闘を成就させるという企みを想い描くことが原意であった。したがって、この言葉が包含していることは、予測や予知などの想像力を、具体的な要素や要因を組み立てて構成し、具体的な目標と目的を成就させる策略を順序立て、事を行うために、前もってその方法や手段などを考えること。その考えは、もくろみ、たくらみ、くわだて、はからいと言われることである。 デザインを外来語とした場合の訳語として、デザイン=計画といわれる所以は、こうした意味を引きずっていると言わざるを得ない。歴史的に、経画が計画に変遷していくのは、単に経線を引くことにとどまらず、見積もりや計算や設計など、全体を包含するためには、計画という漢字表現が最適であったのかもしれない。 では、デザイン計画、あるいは計画デザインという言葉についても、この細密性や詳細性のある、意味の分別をつけておくべきではないだろうか。私は、デザイン計画とは、デザイン・的・計画であり、計画デザインは、計画・的・デザインと区別すべきだと考える。デザイン計画とはデザインによる計画性を意味し、計画デザインとは計画していくためのデザインということである。デザインもしくは計画のいずれかを主体的にすることで、デザイン計画は、デザインという手法による計画ということになり、計画デザインとは、デザインを計画していくことである。この分別的な差異こそ、計画とデザインを峻別し用語定義として、重要な注目点になると考える。