色彩は、人間の知覚として認識されている。なぜ色が見えるのか、という疑問は、色彩論から色彩学へと展開していった。色彩が光現象であるというニュートンの粒子説は、ホイヘンスの波動説と対比され、この二大論が色彩論の基本となった。さらに、ゲーテの光と闇の色彩論など、いくつかの色彩論によって、この謎の解明が試みられてきた。しかし結局、色彩は電磁波の一部、300nmから780nmの可視光線であるということが明白になった。その後アインシュタインによって、光は波動だけではなく、エネルギーを有した粒子=光量子(光子)である、という光の本質論に辿り着いている。 色彩は物体色(表面色と透過色)と光源色(自然光と人工光)に大別することができる。そして生理学的には、眼球での水晶体と網膜の関係、視神経から色覚細胞である錐体細胞と桿体細胞によって識別され、明暗が認知されることとされている。また、ロドプシン(視紅)と呼ばれる視覚物質などが受光し、脳内での分解や増減することによって明暗順応しているとも言われる。結果、色覚意匠についても医学的に解説が可能になっている。 色彩は三属性と言われる色相・彩度・明度によって、分別や伝達手段を可能とした。代表的には、マンセルやオストワルド表色方法が体系化されている。こうした体系によって色彩の調和論や表色体系が生まれ、心理学にも応用されてきた。また光物理現象に対し、反射、透過、屈折、回折、干渉、偏光などのパラメータを設定することで、色の再現が可能になっている。これを応用し、コンピュータのモニター上では、CRTまたは液晶デバイスによって、現在16,777,216色まで表示することができる。デザインにおいては、いわゆるこれまでの色彩論に加え、デジタル技術としての色彩論や色彩学がコンピュータグラフィクスやデスクトップパブリッシングにとっては必要不可欠なものとなっている。