コンピュータの対話形式で、要求や要請に対して、即効的に応答するシステム形式。つまり、ユーザーの要求があったときにサービスを即提供するというインタラクティブな方式のことである。具体的には、例えばテレビ放送やラジオ放送などが、いつどの番組を流すかは視聴者の意向や要求とは関係なく、一方通行的に決定されていて、ユーザーはその番組放送や放送時間に、サービスを受けるということになっている。こうしたことはオンデマンドではない。しかし、WWWやE-mailなどインターネット上でのデータ配信は、ほとんどがオンデマンドで行われている。ユーザーが要求したときに、インタラクティブに送受信が可能であり、ユーザーサイドに、受益がもたらせるような双方向的なシステム形式である。 90年代に、ケーブルテレビ網や光ファイバー網にコンピュータシステムを組み合わせて、ここのユーザーの要求に合わせて、見たいときに見たい映画を放送する「ビデオオンデマンド」(Video On Demand : VOD)システムが注目され、「オンデマンド」という言葉が一般化した。その後、インターネットが普及し発展するとともに、ネットワーク社会で、供給と需要が双方向であり、特に、ユーザーに主導権があるサービス体制全体を、オンデマンドと総称するようになった。旧来のお仕着せ的なメディアに対して、ニューディアとしての優位点は、サービスのオンデマンド性が不可欠の条件となってきている。いわば、需要者の受益性のための重要なキーワードよなっている。これはコンピュータや周辺機器だけにとどまらず、読者の要求ごとに書籍を印刷・販売する「オンデマンド出版」など、インターネットと直接関係ない分野でも商取引や公共サービスなど、新たな社会システムでの、インタラクションデザインの重要なファクターとして、さらに綿密なネットワーク化と双方向性の機能拡張をどうしていくべきかという重要な課題になっている。