演劇用語の「役柄」から派生したものとも言われている。演劇のストーリーでの人物像、人格特性を意味している。そこから、現実の社会生活での、仕事の分担,資格・責務のあり方や割り当てという定義がなされている。社会生活での行動特性としての「役目」と同意である.概念的には,目的的であるとともに再現性をともない、他社との関係性のうえでの一連の行為体系から成立していると考えることができる。集団や組織のメンバーとして、個人特性を際立たせる構造を持っているとも言える。 そこで、役割とは,個人のなかで「生起」するものなのか、あるいは、社会が「与える」ものなのかということが、関係論・関与論・期待論・規範論・葛藤論・距離論・緊張論・系列論・取得論・交換論・行動論・として検討,議論され,現在では、役割のモデル論へ昇華されている.例えば、役割への猶予を心理的に保守したかのようなモラトリアムなどは、社会生活における役割放棄であるにもかかわらず、社会制度がその是非を曖昧にしているのではないかと私は考えている。 デザインの役割、あるいは役割のデザインという相互関係性から見た場合、デザインという職能分担と役目についての考察がとても重要であると考える.その考察は、次の3つの段階でなされてるのではないだろうか。まず、役割を規定するため、デザインの社会的な認知、すなわちデザインという営為の役目の位置づけること。次に、デザインという職能を分化・統合化することである。例えば、アートとデザインの関係、産業とデザインの関係、文化とデザインの関係のなかで、デザインが多様化し、異質化していく仮定を明確に追求することである。最後に、社会や時代との関係のなかで、デザインの役目としての義務と権利が、どのように発生していくのかを見極め、デザインの進歩へと繋ぐことである。 「役割」という、社会的な分担意識は、そのまま、社会的な義務と権利をともなって「役目」となる。すなわち、デザインの「役割」と「役目」が明確な定義と理論を持つことで、社会における「デザインの認知」が進むと考える。