「創」とは、「倉」と「リ(りっとう)」によって構成された漢字である。倉とは、その中に素材や材料だけではなくて、発想やモノづくりのイメージが蓄えられていることを意味している。そして、リ(りっとう)は刃物の象形である。したがってこの文字は、材料や発想から「作る」という行為に至ることを示唆している。そうしたことから、「創る」とは、「作る」や「造る」という具体的な行為よりもむしろ、抽象的につくり出すことを意味している。 そして、創作と創造が、「創る」という意味を分化し、さらに統合した意味を持つ。一般的には、創造とは、神の行為であり、英語では、Creationと表現される。必ず、Cが大文字である。これはまさしくゼロからプラス的に創り出すことを総称している。しかし、創作とは、創り出し、なおかつマイナス的に削り取ることで、モノの本質までを表現することである。そこで、一般的には、文章や絵画、書、映像作品などにおける創作活動は、いかに編集によって削り取り、その本質を創り出すかということが基本的な創る目標となっている。この創作活動と創造活動の差異性は十分に理解しておく必要がある。 特に、「創る」というのは、その発想やイメージから、オリジナリティのある表現物を創ることを意味している。つまり、ある結果や状態を生み出すというよりも、「作る」ことや「造る」ことのために、「創る」という抽象的な造作すべてを意図する言葉であると考えることができる。 デザインは本来、「創る」ための思考を尽くしていく行為であるという定義も可能である。まず、創造的発想により、さらに創作的に思考をまとめて意図化することがデザインであり、デザインとは創造と創作のための策略的行為であると定義することができる。