単純な意味では、「かたち(形)」と同義であるとみることができる。が、形態と形との差異には、会話的(パロール)な意味性と辞書的(ラング)な意味性を、この言葉が使用される領域、例えば、博物学や人類学そして芸術などで検分できると考える。 差異的に形を加工していく過程と結果を、一般的なフォーム(英)、ゲシュタルト(独)と呼んでいる。そこで、なぜそのような形になったのか、または、形をどのように認識しているのかを問題にしたのは、ゲーテである。ゲーテが「形態学」をスタートさせたのは、ニュートン的な量的な近代科学に対して、さらに物事の隠れた真相を見いだそうという動機であった。この動機によって、形態という言葉そのものが、さまざまな認知認識論の中で、常にキーワードとなる核心的な言葉になっていく。この解釈論のなかには、現代においても、この言葉の意味性を考えていくヒントが多い。 デザイン領域での形態とは、デザインの成果や効果として、形を造形していくという経過によって形態が生まれるわけだ。デザインによる造形をスタイリングと呼ぶとき、抽象的な思考を視覚的かつ触覚的に感覚把握できる具象的な存在が「形態」=フォームである。つまり、形態に集約されたり、形態に収束する「思考経緯や思考結果の存在」を形態と言うことができる。 もう一方では、「形体」=シェイプという形態の定型的な存在との違いも明記しておきたい。球体・立方体・錐体などは、形の基本形である。したがって、形体の完結した形を変化または変容させることで、形態を作り出すことが可能になる。とりわけ、コンピュータによる造形では、こうした形体の表皮性・サーフェスモデルや形体の塊性・ソリッドモデルを基本要素としている。形と形態、形体と形態の関係から、これからのデザイン造形としての形態が立ち現れてくるだろう。造形による形態は形の創出にすぎないが、形の存在性そのものが意味表出したとき、形態が成立するわけだ。