無関心【Indifference】

  関心がないこと。興味や注目、あるいは気にかけることが全く起こらないことを意味している。特に、近年では若者たちあるいは市民全体が政治に無関心であるというような使われ方が多い。それは政治や政治家たちへの尊敬が喪失していて、政治によって自分たちの生活をより良くしていくことが全く見えなくなっていることに由来している。つまり、政治が社会や地域に対して無力であるということの現れを意味している。さらに、マスコミが、大きな社会的権力を有してきたこともこうした状況を生んでいる1つの要因として考えることができる。マスコミは本来、関心性を訴求するのが、当然であるが、批判や情報過多、情報操作で一般的な注目度を低下させている。
 デザインに対する無関心は、デザインの効用と効果、デザイナーという職能の社会的立場を主張していくことへの大きな阻害要因であると思われる。そういう意味では、大衆に対してデザインの本質に関するコミュニケーションを最大限にはかっていく必要がある。さらには、デザインの役割を、グランドデザインという言葉とともに政治家に対して理解させなければならない。具体的には、産業や経済に対するデザインの「付加価値論」を廃して、デザインの「全体価値論」権力による社会的な統率力によって、運営と維持していくというような、デザイン手法の革新が求められている。
 そのためには、マスコミとの連携や、政治手法へのデザインの導入を世界的な思想論として確立していく必要があるものと考える。

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