照明方式を表す用語である。当初は、壁面照明のためにダウンライトを連続させて配置し、壁面全体に均一に照明効果を与える手法を「ウォール・ウォッシャー」と名付けた。これは、壁面輝度を上げていくことで、空間全体の明るさを体感的に得ることができる効果に繋がっている。つまり、壁面という鉛直面全体、下辺部から上辺部まですべてが平均的に明るければ、その空間は全体的に明るいと感じ取ってしまう心理的な効果があるということである。この心理的な明るさの体感は、天井面全体を均一な照明面とすれば、どのような効果に繋がるかということで、これを「シーリングウォッシャー」と呼ぶ。さらには、床面=フロアウォッシャーや、路面=ストリートウォッシャーなどが、均一な照明効果、照明演出手法とすればどのような効果に繋がるかということまで発展していった。 当然ながら、こうした照明を技術的に具体化していくためには、光源形式、照明器具、照明器具の配置、照明光源の明るさ制御など、光の投射や反射など、特に、まぶしさや光の拡散方式の技術開発の詳細な照明技術が要求されている。建築照明の分野では、このウォシャーという概念とその具体的な方式は、今後、さまざまな照明効果として、空間の室、空間と人間の心理状況とのインタラクティブなデザイン手法になっていくものと考えることができる。 照明効果は、均一な照明輝度に対して、見かけ的な明るさの設定によって、体感的な明るさ感を演出することができる。この明るさ感が実際的な心理効果に繋がっている。したがって、ウォール・ウォシャーという手法の発見は、空間照明での1つの原理になってしまった。照度が高ければ明るいという物理的な原則よりも、照明される平面の輝度やまぶしさは、人間の生理的な明るさ感よりも心理的な感覚との関係が明白になっている。こうしたウォシャー効果と呼ぶべき光制御は、照明技術と照明デザインの関係化に繋がっている。