家畜に焼き印を押す=brandingを原意として、銘柄や商標という意味を持つ。商標とは、商品価値を明示し顕示する目印のことである。この目印そのものが、資本主義経済においては、価値の分類や選択のための基準となっている。つまり、商品の形式と内容における使用価値ではなく、所有価値を優位化する商標記号をブランドと呼ぶようになった。そこから、商品の内容ではなく、商品の背景にあるつくり手やメーカーの姿勢、思想などとの連鎖性を読み取るという傾向が生まれてきた。それは製品そのものや企業のアイデンティティを商品に持たせて、同業他社品との差別化を図るということであり、ブランド戦略と言われるまでになっている。これは、感覚的な卓越性や伝統性を保証するという記号的意味性をつくり上げなければならないとする、マーケティング戦略であり、ある種ファッション的なブームになっている。しかし、商標そのものは単なる目印にすぎないが、ブランドはその商標の意味性にまで及んでいる。すなわち、視覚的なアイコン性と品質保証を裏付ける歴史性などすべてを含む、象徴的なイコン性を形成するための製品記号論の1つと考えるべきであろう。ところが、現代では、ナィコンという意味によって、ブランド志向という選別意識へと繋がり、その傾向は商品選別だけではなく、人生における受験、就職、結婚などにいたる、生きる過程での選択基準になっている。デザインとブランドの関係は、ブランドをデザイン対象として捉えるだけではなく、ブランドを形成するアイコンの創出とそのイコンヘの演出にまで、戦略としての役割をデザインは有している。結果、商標としてのブランドだけではなく、ブランド志向と言われている現代のファッション性やフェティシズムを誘発し、形成していくブランドデザインが求められているのである。安易なマーケティング戦略から解放された文化戦略としてのブランドデザインの手法論とその具現化を拡大することがデザイナーの役割である。