本来は、米国の放送業界から生まれた言葉で、ラジオの中継網やテレビのマイクロウェーブ回線が網の目のようになっていることに由来する。特にテレビの回線網の全国的な一元化による、中央主権的な運用と管理体制による放送網の形成という考え方のキーワードとなった。わが国ではテレビの放送網ということで一般化した。その後、コンピュータの運用と結びついて、ある計画を遂行するために一必要なすべての作業の相互関係までを統合的に象徴する言葉へと変遷してきている。この言葉の本質的意味は、W.S.ランデッガーの「統合」という言葉との連鎖性から捉えることで、意味の定義がより明確になると考えられ、次の4つの意味的分別ができる。まず「文化的統合」。これはネットワーキングという社会的運動や民主主義のあり方として定義が可能である。2番目が「規模的統合」という意味でのネットワーク。3番目が「伝達網的統合」である。ここでいう伝達網とは具体的にはラジオ、テレビ、そしてコンピュータによるインタラクションということである。まさしくネットワークの原意をこの伝達網的統合という直裁的定義に求めることができる。4番目は「機能網的統合」、つまりネットワークそのものの機能性をさまざまな技術的成果の集合として捉えることで、ネットワークの構成要素の定義が可能になる。これはネットワークモデルとして社会的な意味へと拡張していく。結局、ネットワークは情報網という基盤の統合的な完成度を評価する言葉なのであり、時代的な意味の拡大によって、 エネルギーのネットワーグ'などというように、点・線・面的な要素に加えて、網=web的な意味までを獲得した。こうしたことを受け、デザインにおいても、ネットワーク的なコミュニケーションによる問題解決、つまり統合的なデザイン意図を持って、ハードウェアとソフトウェアをネットワーク的にメディアインテグレーションするということが、デザインの手法の1つとして考えることが大切である。