社会的な個人間や集団間でのネットワーク形成を意味する。ネットワークという言葉が放送網に由来することを受け、特に1980年代以降その機能的な統合性を社会運動論の文脈に適合させた言葉として定着してきたものである。いわゆる「草の根運動」に見られる、運動体相互の意識的なネットワーク形成を指し示す言葉である。70年代に入り、資源的かつ理念的にも行き詰まった先進産業社会における、市民の危機意識から生まれたコンセプト用語とも考えることができる。つまり、危機感の共有意識として、先進的な産業的成果主義に対抗する文化運動であり、その統合的な結果での新たな文化形成として70年代には賛同と認知が得られる言葉となった。そして、テクノクラートを中心とする国家において、私生活やプライヘート領域を共有する一般の人々が、1つの国家あるいは民族であるという意識とは違い、何らかの共有価値の再確認のために、ネットワーク形成を推し進めようという理念的な用語にまでなった。いわゆる草の根運動とは、新しい祉会運動がさまざまな価値観によってネットワーク化されることである。具体的には、エコロジー的な共生の価値観が、個人の自律性や自己実現性を確立しながら、さらにネットワーク的な統合力によって、組織の分散化や多極的な中心化によって、直接的で民主主義的な合議制に基づき、ネットワーキングというコンセプトで、新たな社会基盤づくりを目指そうということにまで発展している。そして、その強力なツールとして、コンピュータによる伝達網、つまりインターネットというメディアインテグレーションがあり、これにより相互的な意思、確認が、社会的かつ文化的な地球規模での制度手法となるものと推測される。デザインにとっては、コンピュータによるコミュニケーションデザインが、このネットワーキングを根本的に支援する役割を担っていると思う。