素材や材料に人工的な作為を加え、手作業あるいは道具を運用することによって作られたモノ、品物を指す。人工的な作為とは、制作・製作・製造・生産であり、これらは材料・作り方・作り手によって、その構造が段階的に複雑化していく。製品とは、こうした構造的、段階的に作られたモノと定義される。 まず、製作とは、人間が単純な道具でモノを作ることであり、製作は、制作よりもさらにその加工や素材において、より技術的な物作りになっていく。よって、作品は、単純に制作品と製作品の二つに限定的な定義が出来る。製造は素材を削るというような、素材に対してマイナス的な加工を施して作るというように、材料をさまざまに組み合わせ、人員も分業化する体系的な、プラス的な営為によるものづくりとなる。いわゆる産業革命とは、ものづくりが製造段階から社会制度化され始めることでもあった。こうしたものづくりの体系化や制度化では、製作されたモノや製造されたモノは、そのまま、製作品や製造品であるがゆえに、「製品」と呼ぶことになる。製品とは限定的に定義すれば、製作品と製造品ということであるが、製造より高度化した工業システム、あるいは産業構造では、生産によりものづくりされた物品までが製品と呼ばれている。 製品作りという営為からではなく、市場に提示されている消費者のニーズを充足するための媒体であるとすれば、それは有形の物理的実体に限定しておくべきではない。現代では、消費者が要請している心理的欲求に対する、無形の包括的な概念までが製品であるとする、拡大した定義が可能である。つまり、製品とはすでに物質的存在だけではなくて、情報そのものが、営為的に構造化されているモノまでを製品と呼ぶことが可能になっている。むしろ、製品と商品の差異性に注目しておくべきである。が、商品開発とは、「売る」ために、市場へ流通させるための媒体開発である。しかし現在では、つくられたモノから、媒体になり得るモノまでが製品とされているのが現状である。