ある品物や物品、構築物を作るときに、その形や大きさを示す図解としての図面を描く、その手段を製図という。したがって、当然ながらモノを具現化する手段であるために、対象物それぞれが、その標準的な図法を持っている。製図には、機械製図、建築製図、土木製図、電気製図、化学製図、被服製図などの種類がある。一般的には製図は平面で表現されるが、対象物が立体であることから、立体物を平面に投影する図法によって、製図の形式が決まる。その形式は、立体図学、画法幾何学、射影図学など、絵画から図面へという発展への多大な歴史的知恵の結晶であった。これは設計という手段と製図という手法によって、ものづくりを根本的に支えてきたものである。 ところが、最近ではコンピュータによる製図はCAD(Computer Aided Design)によって、立体はそのまま立体として、いわゆる3D-CADの進展により、製図手法がそのまま設計手法から製造や生産にまで直結する時代になってきている。いうなれば、すでにこれまでの製図の歴史は終焉しようとしているとさえ考えることができる。むしろ、製図がコンピュータの画面の中で、設計の表現図解であった時代から解放されようとしていると見なすべきだと提言したい。そしてこの提言とともに、2つの予測が可能である。まず、これまでの製図表現に遡及しなければ、設計意図が製図から読みとれないとするならば、たとえ3D-CADであっても、その製図は設計か意図しての価値を持ち得ないものになるということである。また、これまでの図法はあくまでもユークリッド幾何学から逸脱した形態の図解化がほとんど不可能であった。が、ようやくユークリッド幾何学から離脱した形態表現が可能になってきている。よって、3D-CADでは、新たな形態の製図方法が可能になっているということである。製図は、コンピュータによって、大きな革新の時期にある。