本来は、航海術や航空術を意味している。走行しながら現在の位置と目的地までの進行方向や距離を測定し、運転状況までをシステムとして認識する手法とその具体的な装置を指示する言葉である。現代では、この本来の意味に最も適合するものとして、カーナビゲーションシステムがある。つまり、ナビゲーションに対しては、「道案内」という明快な訳語を与えることができ、案内システムをナビゲーションと呼ぶことが可能である。位置(ポジション)と目標(ゴール)との関係を測定し、空間的・時間的に認知し表示するシステムや装置などを全般的にナビゲーションと呼ぶことができるのである。 現在では、ナビゲーションはコンピュータ技術によって、計測や表示までがよりインタラクティブになりつつあり、時空間だけではなく、われわれの身体感覚や心理性にまで、その案内システムを展開することが可能になってきた。例えば、パーソナルコンピュータの究極のシステムである「ナレッジ・ナビゲーター」は、いわば秘書的な支援システムであり、ナビゲーションのシンボルとしてデザイン提案されたものである。カーナビゲーションシステムでは、すでにクルマの走行案内に止まらず、運転者と交通システム、あるいは運転者の心理状況とのインタラクション性が求められている。このようなインタラクション性は、ナビゲーションの現実的かつ将来的な実例としてわかりやすいデザインテーマになっている。 特に、ナビゲーションにおいて重要なのは、視覚的、聴覚的、そして触覚的なインターフェース性とナビゲーションシステムとの関係性である。すでに、グラフィックユーザーインターフェース=GUIを超えた新しいユーザーフェースによるナビゲーションが、日常的な「案内支援システム」として、デザイン提案されるようになってきている。おそらく人間の知識や認知性、感受性に対する認知案内のあり方として、インターフェースとインタラクションによるナビゲーションが、今後の統合的なデザイン目標になると考える。