目で見るのと同様に、視覚的な遠近感が認識できる物体図や構造物などの描画のことである。美術においては、遠近法による描画技法としての定義から、その歴史的な進展を辿ることができる。基本的には数学的な空間図形を平面上に表示する1つの方法であり、画法幾何学と連関した遠近法の系譜と重なってくる。 透視図は英語ではperspective projectionであるが、通常は、パースやパースペクティブと呼ぶ。perspectiveの語源はラテン語の perspicere(明らかに見える)で、これは中世ヨーロッパの光学と同義であり、絵画や浮彫など二次元的な造形表現での空間知覚のための表現法すべてに適用された言葉である。 まず、西洋の遠近法から透視図の歴史的な概要を捉えると、絵画や建築、そして数学や力学、天文学にまで、その表現への探求があった。東洋の遠近法では、三遠と呼ばれる山水画の構図理論がある。高遠・深遠・平遠という視点の異なる3つの構図形式が距離感や透視感として認識されていた。これは遠近法というよりは構図法であった。この西洋と東洋の差異性は、自然描写や自然観察のうえでの空間認識に大きな違いがあったことを明確に表している。 透視図は視点と物体と画面の相対性に基づいており、それは自我(視点)が自然界(物体)を見ている世界を窓(画面)として捉えることを意味している。しかし、今日では、コンピュータ画面上でのバーチャルな世界での空間知覚、特にミクロからマクロ、さらにはナノの世界の視覚化において、より新しい視点設定の方法や空間認知のあり方が探求されなければならない。