広義ではニュースや知識を情報と呼ぶ。が、概念的には、「不確実で曖昧な状態を確実にする物事」ということができる。状態が不確実で曖昧であるのは、起こり得る状態が予測できても、何がどのように起こるのかはその時点では不明であるということである。したがって、「いくつかの可能性が潜在的に存在する状況の下で、その1つを現実化させるもの」、あるいは「多様性がある場において、選択に有効な何らかの作用」を情報と定義することができる。簡単に言えば、客観的な伝達や改変や編集ができる段階の事項が情報ということになる。 技術発展の過程で、材料加工から「物質」という概念が生まれ、原動機の開発から「エネルギー」の概念が生まれたように、通信技術やコンピュータ、自動制御技術の発達の結果、「情報」という概念が形成された。かつては、物質を自然界から確実化させることによって農業革命が起こり農業社会が営まれ、エネルギーによって工業革命が起こり工業社会が生まれるという段階を経てきた。そして、現在における情報革命と情報社会の関係は、情報の生産や伝達、制御のためには、記憶や加工などの情報革命の革新とともに、社会が情報によって操作されているということである。 デザインと情報の関係では、情報の表現形式と表現内容を統合化して、社会的に共有できるコンセンサス=コミュニケーションを目標とする、いわゆる情報デザインという領域が発生してきた。情報デザインでは、「物事」を整理し、強調させ、合理的に機能させるための基本的な事項や要になる事項を情報と定義し、情報の形式と内容を編集することで、伝達させて、意識下さえ制御する。また、それは情報の表現形式と内容を分離したり融合させることにも連動していく。つまり、情報デザインは、単なるコミュニケーションを越えた社会的な不安や危険を引き起こす要因をも孕んでいる。 一般的に「物事」という場合は、「事」を指し示す「物」が情報である。情報とデザインの関係を考えた場合、本来、デザインの本質であるコミュニケーションが「物事」そのものである。