生物学の一分野として成立した生態学を意味する。ドイツ人生物学者、E・H・ヘッケルによって、ギリシア語のOikos=家とLogos=学問からなるOkologieを語源として1860年代につくられた学問タイトルである。植物生態学・動物生態学・人間生態学に分類されている。生物学は、生物を種別することを起点とした学問であった。が、生態学は、生物を環境による影響、あるいは環境と生物の相互的な関係で捉えようとする学問として、今では、人間と環境の問題を取り扱うまでに拡大した。それは1920年代にシカゴ大学の都市社会学者であるロバート・E・パークやE・W・バージェスらがエコロジー理論を用いて、都市分析を行ったことに由来する。そして60年代には資源枯渇や環境破壊が問題化し、70年代には生物と地球環境の相互関係が世界的な問題となり議論が高まる。そこで生態学は、自然や環境の保全や保護にとって不可欠な基盤的な学問であり、かつ、エコロジー運動など社会運動として大きな論点を統括する用語となった。1972年に初めて国連によって開催された人間環境会議や、そのときの教科書といわれたレイチェル・カーソンの著書 『沈黙の春』、あるいはドイツの市民運動から政党になった「緑の党」など、エコロジー運動はすでに生態学のタイトルを超えてしまっている。 デザインにとっても、工業社会での環境破壊や製品廃棄・産業廃棄問題との関わりでは、エコロジーデザインという見方が生まれてきた。したがって、世界各国にあるグッドデザイン賞などにも、エコロジーデザインが設置されるなど、自然・人工物・地球環境という連鎖性の中でのデザインのあり方として、生態的なデザイン解決方法が模索されている。 生物学的には動物集団をアソシエーションと呼ぶが、生態学的には、種別ではなくて環境との集団をフォーメーションという術語で語る。私は、企業という環境そのものがアソシエーションからフォーメーションになっていく必要があると考えている。エコロジーデザインの成果がこれからのデザインにとっては最も不可欠である。