SSIDとは「Sabae School of Intelligence Design」の略称である。鯖江市は1988年(昭和63)、社会人を対象にしたデザイン再教育の場「市立インダストリアルデザイン講座」を開講しました。丁度、200年前の1788年、鯖江藩校「進徳館」が開校し、藩校の教育方針「修身斎家・経義討論・私意厳禁・容姿端正」の四つが掲げられていました。専任講師川崎和男氏はこれを採用し、本来、デザインを主体にした1年間の講座ながら、週1回、年間約60回にわたり「ことば・形・美の手法」を学習する演習やプレゼンを繰り返し、限られた中でSSIDはほかの4名の講師らとともに17年間、地場産業の振興とりわけ即戦力となるデザイナーの育成という多大な貢献を果たしました。
2年目からパソコンを導入(ただし1期は修了制作時に数台のみ)し、20台まで増設。パソコンをデザインのツールに手を動かすことを一つの目標に多くの課題が出されていました。たとえば、開講時にはスチレンボードで6cm立方体の制作にはじまり、以下デザインストローク(B3)、組み合わせ立方体、ペーパーモデル作成、各種スケッチ、グレースケール等々。12月に至り修了制作のテーマ発表により残り3ヵ月間、モデル、ムービー、パネルを作成し、公開プレゼンテーションと修了制作展を行い1年間が終了します。
しかし、残念ながらSSIDは1期から17期までで終了。首長選の政争の具になりこうした結果を招きました。17年間で修了生は223人。そのうち地場産業の眼鏡、繊維、漆器で約4割を占めています。地域の人材育成に大きく関わったことを示すものですが、さらに外部からグッドデザイン賞もこの実績を評価しこの事業(鯖江市)に2004年度特別賞「日本商工会議所会頭賞」を受賞しました。特記すべきことだと思います。