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第3回「藤崎 圭一郎」氏


今期最終回となるKK適塾には、第2回での講師をお願いしておりました藤崎圭一郎氏に急遽お願いすることになりました。先立ちまして、本講座寄附企業の一つである大日本印刷株式会社様からは情報イノベーション事業部 C&Iセンター SP・SD本部 SP設計開発部 部長 村上浩氏より、電子ペーパーの活用に関するお話をいただきました。電子書籍等で既に実用化が始まっている領域ですが、今回は衣服の形に仕立てた製品を用いて、その可能性をご説明いただきました。海外ではニュース等でも取り上げられ、実際にキャスターの方が身につけている映像もあるとのことです。続きまして、主催者である川崎より、これまで3年間行なってきたKK適塾のまとめの意味も込め、改めてコンシリエンスデザインの意味について、その発祥から説明させていただきました。医工連携やデザイン思考では実現し得ない、本当の意味でのイノベーションについて、その実例としての製品デザイン紹介を軸に、プレゼンテーションを行いました。これまで三年間にわたり実施して参りましたKK適塾のまとめとさせていただきました。
藤崎氏との対談は、やはり、最初の出会い・いきなり怒鳴られてしまったところからです。それにも関わらず、氏が川崎と関わりを持ち続けてくれましたのは、その活動にご理解いただいたからのようです。今回の講演のテーマでもありましたが、関係性のデザインとして、デザインの広がりを体現・デザインの領域を拡張していったと評価いただいているようで、「川崎を追うことでデザインの最先端がわかる」という言葉をいただきました。現在の学生さんの話を絡めつつ、考えの中央にある、「作品への強い意識・これじゃなきゃ嫌だ!!」という想いの重要性を二人でお話いただきました。最後は「藝」と「医」の二つの漢字が、簡素化されたことによる意味内容の変化について、本質が失われていることを嘆く内容につながりました。デザイン:客観、芸術:主観という、前回のKK適塾でも話題になった内容を踏まえつつ、コンシリエンスデザインとしてのまとめを行いました。

藤崎 圭一郎
東京藝術大学 美術学部デザイン科 教授
1963年横浜生まれ。デザイン評論家。編集者。『デザインの現場』編集長を務めた後に、フリーランスとしてデザインに関する記事の執筆、雑誌・書籍の編集に携わる。主な著書に広告デザイン会社ドラフトの仕事を取材した『デザインするな』。雑誌『AXIS』で科学とテクノロジーの最前線を取材する「SciTechFile」を連載中。生命科学と創造性の発現が最近のテーマ。2010年より東京藝術大学美術学部デザイン科准教授、2016年より同大学教授。