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第4回「河北秀也」氏・「北川原温」氏

デザイン界の巨匠が語る
次世代デザイン


第四回KK適塾は、東京藝術大学から名誉教授の河北秀也氏と大学院教授の北川原温氏を講師に開催しました。河北氏とは日本デザイン学会50周年記念講演では、グラフィックDを河北氏が、プロダクトDを私が、二人とも確かに、デザイン学会の今後に警鐘を鳴らしてお互いに学会に関わらず仕舞い、今や当時の警鐘はさらに拡大していて、私から言わせれば、デザイン学は「瀕死の状況」だと思っています。河北氏のiichiko全てのアートディレクションは、学術誌出版まで彼のトータルディレクションです。北川原氏はある建築コンペ公開審査で彼の案を絶賛したこと、最近のミラノ博日本館の素晴らしさ、現代も日本のアートも語れることで講師をお願いしたということです。河北氏の学術誌出版のパトローネ主導までのアートディレクションは、グラフィックデザインの商業的なあり方には現代のクライアント奉仕よりも、商業主義を主導するグラフィックデザインは今や唯一だと言えるでしょう。北川原氏は、今回も長谷川等伯の芸術性を登場させ、ミラノ博日本館は見事な日本の伝統的な建築様式をイタリアの地に展開し海外を驚愕させました。三人ともにいわゆる美術学校出身ゆえに、学生時代には何を学び遊び、そして三人が今度は教育者となって、今、次世代には何を期待しているか、そうした語り合いを観客に聞いていただきました。私の評価は、河北氏はグラフィックデザインを要としながらも、かつてのポスターから現代の学術誌出版まで、今、このアートディレクションは皆無と言っていいでしょう。日本の伝統的な建築技術の再現、どの現代化から未来性創出、その裏側には現代アートから日本美術までを語れるのは北川原氏でしょう。二人とも、私と違ってまだまだ未来を創ってくれるでしょうから、彼らには16:9のデジタルアッサンブラージュのプレゼ形式を見せ、コンシリエンスデザインでの「大ガラス」私見を語り継ぎたかったのです。北川原氏のアートと日本の伝統建築技術、その代表作ミラノ博日本館、河北氏のアートディレクションと商業主義主導の学術文化創り、同世代が確実に歴史に刻んだデザイン効果を伝え残したものと確信します。

河北秀也
1947 福岡県にうまれる 1971 東京藝術大学卒業 1972 東京地下鉄路線図デザイン 1974 日本ベルエールアートセンター設立 1974〜82 地下鉄マナーポスター企画デザイン 1982〜現在 「いいちこ」の商品企画、パッケージ、TVCM、ポスターなどすべてを企画デザイン 1992〜2003 東北芸術工科大学情報デザイン学科教授 2003〜2015 東京藝術大学デザイン科教授 著書「デザイン原論」「ON DESIGN」「風景からの思想」など

北川原温
長野県千曲市生まれ。日本建築学会賞作品賞、日本芸術院賞、日本建築大賞、村野藤吾賞、ケネス・F・ブラウン建築文化大賞、など多数受賞。近年では「聴く建築」という音環境の研究が話題に。最近ではJR中央線小淵沢駅舎・駅前広場の設計やミラノ国際博覧会日本館建築プロデューサーに携わる。 その他、学会や研究機関の委員、建築賞などの審査委員を務める。