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第3回「村田智明」氏・「太刀川瑛弼」氏

次世代型ソーシャルデザインと
基幹産業について


私は阪大を一度退官後、「寄附講座」で残って、大きくは二つの領域で教育、研究、開発を連続させています。一つは天災人災を念頭にした実務デザイン開発と、「KK塾」から今年度からは「KK適塾」という、特に今年度は、デザイン界直接に、「コンシリエンスデザイン講座」です。デザイン界に向けてはこのところのデザイン盗作やデザイン界への大誤解をなんとしても、デザインとは、いや「これがデザイン」を「知恵ある最先端の問題解決・価値創出・未来産業創成」を意図しています。第三回目の講師も選びに選びぬきました。ある意味では、私は金沢美大で純粋培養されてきたデザイナーです。今回の講師であるムラタチアキ氏は、大学では応用物理学から家電系を経て実務的なデザイナーであり、デザイン教育者。NOSIGNERと称しての太刀川氏はデザイン手法をさらに深化を狙った活動、いづれも、既成デザインの破壊から新規デザインのあり方を求めています。これは純粋培養されてきた私も同様に、絶対に伝統的なデザインでは無い、新規デザイン、新規デザイナーのあるべきデザイン対象やデザイン領域をなんとしても発見したいという「デザイン」であるからこそ、常に「新しいデザインとはどうあるべきことか」とか、「こうやっている行動がデザインを成し遂げている」という、三人ともに共通項を持っていることです。年上のデザイナーである私は、「コンシリエンスデザイン」や、「遺伝子編集へのデザイン、基幹産業の導入」を彼らに語り伝え、彼らは当然のこと、地域産業や伝統工芸にも深く関与しています。結局、対談テーマは「どのような教育をすればデザインが可能になるか」にいきつきました。前回の講師をお願いした澄川氏、原田氏も参画をしてくれていました。特に、太刀川氏とは講座を離れて「書」の話となり、彼とは思いつきで「日本デザイナー書道俱楽部」までを創りました。次回は、東京藝大から2名のデザイナーと建築家を講師に選びました。

村田智明
京都造形芸術大学教授・SDI(ソーシャルデザインインスティテュート)所長。大阪市立大学工学部応用物理学科卒、1986年同社を設立、プロダクトデザインやデザイン思考理論を中心に、ソーシャルデザイン、地域創生などデザイン領域を広げる活動を行う。自らデザインを手掛ける企業コンソーシアムブランドMETAPHYSを運営。神戸芸術工科大学客員教授、九州大学非常勤講師。NPO法人エコデザインネットワーク理事。『ソーシャルデザインの教科書』『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』

太刀川瑛弼
デザインストラテジスト。在学中の2006年にデザインファームNOSIGNERを創業。ソーシャルデザインイノベーション(社会に良い変化をもたらすためのデザイン)を生み出すことを理念に活動中。建築・グラフィック・プロダクト等のデザインへの深い見識を活かし、複数の技術を相乗的に使った総合的なデザイン戦略を手がけるデザインストラテジスト。