第1回「濱口秀司」氏
学際化による革新的なテクノロジスト像
この度「KK塾・2015」第1回を大日本印刷のDNP五反田ビル1Fホールにて開催させていただきました。キックオフ講師は、国際的イノベーター・濱口秀司氏を米国から迎えてです。イノベーターというより、デザインとエンジニアリングでの企画コンサルタント=テクノロジストであり、大阪大学大学院・医学系研究科「コンシリエンスデザイン看医工学寄附講座」の育成目標人物です。昨今、「デザイン思考」という、スタンフォード大学のd.schoolとIDEOの手法論から拝借しているデザイン論が、デザイナーだけでなく一般的なイノベーション開発手法として、東大のi.schoolでそのコピーが用いられていることなどは大問題です。そもそも、イノベーションとは、提唱者であるシュンペンター自身は、コンバイネーション(独)「新結合」と呼んでいました。すなわち、コンシリエンスの定義です。そして、わが国の3.11復興策に必要なものこそ、新たなコンシリエンスデザインです。コンシリエンスも18世紀の造語であり、なおかつ対語的なレジリエンスは決して、デザイン系大学教育には登場しません。今回DNPホールの現代ホール性能では、濱口氏も私もMacでKeynoteプレゼ、且つ映像と音楽を運用することができました。これはおそらく初です。第2部の対談では、インプロビゼーションという形で、私からIoTの今後や特に人工知能の可能性などを質問しました。彼はBias的手法での成功例や、阪大親友・石黒教授との合作である2体のロボット会話などを示し、人工知能について説明しました。そこで、私の持論となりつつある「人工知能無理説」、DNAと神経がロボットに実装されない限り困難を、人工心臓デザインやエボラ出欠熱がRNA破壊などの実例での人工知能の無理説、無謀論を述べました。その中で濱口氏の回答は明解でした。ともかく仕事としての問題があれば最適解を必ず出しますという姿勢。これこそ私がデザインを学術性と芸術性を統合出来る能力者、こうした次世代が大阪大学大学院の私の講座「コンシリエンスデザイン」で育成したいテクノロジストです。観客からの質問は二つに集約でき、1点目の構造化は「ともかく練習・訓練が必須」と、そして2点目の「自分の提案が拒否された場合は?」に対する私の答えは「拒否する人物の社会的存在そのものを総否定する」であり、これは濱口氏にも賛同いただきました。コンシリエンスやレジリエンスに関する教育は、現在の大学機構、特にデザイン系大学では皆無です。だからこそ私は「KK塾」で一般的な認知論を開講したのです。ぜひ全7回をお楽しみください。
monogoto CEO、Business Designer、ziba design、Executive Fellow
京都大学工学部卒業後、松下電工に入社。戦略投資案件の意思決定分析担当となる。1998年米国のデザイン・イノベーションのコンサルティング会社zibaに参画。USBフラッシュメモリをはじめとする数々のコンセプトづくりをリード。IDEA金賞など数々のデザイン賞を受賞。その後、松下電工(株)新事業企画部長、パナソニック電工米国研究所(株)上席副社長、米国ソフトウエア開発ベンチャーCOOを歴任。2013年ziba Executive Fellow、取締役会特別顧問。自らの実験会社monogotoを起動。コンセプト立案、戦略構築について独自の理論と方法論を持ち、数多くのクライアントのイノベーションに関わっている。ドイツRedDotデザイン賞審査員。