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第5回「石黒 浩」氏・「濱口秀司」氏

デザイン界の巨匠が語る
次世代デザイン


私がこの40数年語り継いできたことは、日本の企業体で実際は「日本語が消滅」していることです。企業では当然ながら全員が知っているはずの日本語、その肝心の意味が全く消滅していて、本質的な意味・定義を知ったかぶりしている事実です。たとえば、「企業」っていう本質的な意味は知られていません。この基本は「企業の『企』」にあるのです。よって、企画も計画も実際的内は企業内の会話にどれほど登場しようが、企画も計画も企業行動・企業活動を真実には支えていないということです。これは「KK適塾」最終回に私が「企画」と「計画」を再提示じました。実際、日本のどの大学でも「企画学」も「計画学」もありえません。書店に鎮座している「企画」または「計画」の書籍を私は随分みてきましたが、ずばり、「企画」と「計画」この本質的意味・定義をみかけたことは皆無です。おそらく、日本の企業、それこそ私が社会人としてスタートしたあの東芝さえ、なぜ、企業存続の窮地にあつかは、幾たびも私は講義もしてきましたが、まったく企業内ではこの本質的定義を見失っていたことだと確信しています。ここで私はとりあえず、企業内がすっかり見失っていることば、それこそ、製品・商品・投資・利益・利得などほとんどの日本語の意味をすっかり「企業内で知ったかぶり」が蔓延しているということです。「KK適塾」をこれで3年やってきて、未だにこの日本は、すでに終焉した繊維産業・鉄鋼産業・家電産業があるにも関わらず、基幹産業を見いだしていません。なんだか、米国からの「デザイン思考」が「イノベーション」を必ず起こしてくれるというムードがBigDataやIoTに繋がっているという、この印象操作から解放される必要があると次期「KK適塾」では、詳細に語っていく覚悟でします。

石黒 浩
大阪大学 特別教授・ATR石黒浩特別研究室
室長1963年滋賀県生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻教授・ATR石黒浩特別研究室室長(ATRフェロー)。工学博士。社会で活動できる知的システムを持ったロボットの実現を目指し、これまでにヒューマノイドやアンドロイド、自身のコピーロボットであるジェミノイドなど多数のロボットを開発。2011年大阪文化賞(大阪府・大阪市)受賞、2013年大阪大学特別教授。最先端のロボット研究者として世界的に注目されている。

濱口秀司
monogoto, ziba design, Executive Fellow, 大阪大学大学院 招聘教授
京都大学工学部卒業後、松下電工に入社。戦略投資案件の意思決定分析担当となる。1998年米国のデザイン・イノベーションのコンサルティング会社zibaに参画。USBフラッシュメモリをはじめとする数々のコンセプトづくりをリード。IDEA金賞など数々のデザイン賞を受賞。その後、松下電工(株)新事業企画部長、パナソニック電工米国研究所上席副社長、米国ソフトウエア開発ベンチャーCOOを歴任。2013年ziba Executive Fellow, 取締役会特別顧問。自らの実験会社monogotoを起動。コンセプト立案、戦略構築について独自の理論と方法論を持ち、数多くのクライアントのイノベーションに関わっている。ドイツRedDotデザイン賞審査員。