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第2回「生田幸士」氏

マイクロナノロボットによる
最先端の医学・工学とデザイン


「KK塾2015」第二回目は東大大学院・先端科学技術開発センター教授の生田幸士先生に講師をお願いしました。その冒頭にコンシリエンスデザインの紹介をしました。今回は、医工連携+デザインで看医工学がコンシリエンスデザインと極めて密接な関係があることを語りました。医工連携だけでは、とても現実的な形態設計もさらに制度設計も困難であり、デザイン思考というブームでは不完全なことを、まずは二次元、二次元ベクトルでの要素を増やすことの提唱しました。次回、ニュートン的ベクトルでの領域学、その実力を量子力学、すなわち3次元的アナロジー化していくことを示します。生田先生には、一昨年の「KK塾」でも講師をお願い、大阪で開催していました。彼とは親友であり、すでに20年近くお互いの研究開発を熟知。出会いは、名古屋市立大学芸術工学部に「ロボット領域論」を必要とし、彼が名古屋大学教授時代からの付き合いです。国立大学と公立大学の単位互換制度を最初に創りました。どれほどの障害があったことでしょうか。ところが今、名古屋地区での国立大・公立大の単位互換制度は当然になっています。今回は、ご専門の世界で最も小さなマイクロナノロボット、血小板サイズの医療ロボットの話よりも、創造性開発を、自分が高校生時代から身体化してきた経緯を中心に、その教育、その原理原則を講演していただきました。特に、「ブームを追いかけることの無意味さ」には聴衆の大きな賛同を得られたと感じています。これには、最先端でのロボット開発が目立っていることよりも、学生への創造性開発、その教育実例を彼の出身高校時代から留学時代、九州工業大学時代、名古屋大学、東京大学での現在までの彼の教育手法が聴衆を引きつけました。私も、彼の恩師であるロボット学者である森政弘先生の講座に引っ張り出されることがありますが、その内容もロボットや工学ではなくて、宗教哲学からの創造性育成が中心です。私たちは、お互いに電話をし合うと、長時間の会話になってしまいます。今、東大では最もTV出演が多い教授だと思います。SF映画「ミクロの決死圏」を実現するのは、彼のマイクロナノロボット開発です。さらに「化学IC」なども、今では3Dプリンターと言われていますが、彼も私も光造形を日本では最初に、彼は光造形でマイクロナノ造形を行い、私は人工臓器デザイン開発の創始者と言うことができるでしょう。彼の膨大なプレゼン画面から、私との対談では会場からの質問にも応えてもらいました。

生田 幸士
東京大学 大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻教授, 東京大学 先端科学技術研究センター 兼務
医用マイクロマシンやマイクロ手術ロボット、化学ICチップ、再生医療用デバイスなど日本発信の新原理、新概念に基づく医療機器を開発してきた。昨今、地震災害後も安定に稼動できる医療機器や、災害についての公正な情報公開の場として災害支援学会の設立提案など医工学からの貢献策と、創造性教育のユニークな取り組みについても紹介する。